[課題]
・読者アンケートでは読者である子供たちのリアルな様子が分からない
・本とキットだけではない付加価値を読者へ提供したい[活用内容]
・本誌と連動した企画や追加情報をコミュニティに掲載
・月一回の動画投稿またはワークショップを実施
・毎月テーマを設定した投稿ミッションで子供たちの挑戦と投稿を促進[成果]
・子供たち同士で投稿を褒めたりリスペクトする交流が実現
・実際の子供たちが『学研の科学』を楽しむリアルな様子を知ることができた
Gakkenグループは1946年に創立し、日本の教育を担うという気概をもって事業を始めました。「戦後の復興は、教育をおいてほかにない」という創業者の信念に基づき、小学生向けの『学習』という雑誌を創刊したのが始まりです。その後、兄弟誌として『科学』が生まれました。現在では教育事業と並ぶもう1本の柱として医療福祉事業も展開しています。
『科学』は元々、小学校の理科室に実験器具が充実していなかった時代に、科学実験をする機会を一人ひとりに提供したいという思いで、科学のふろくがついた月間雑誌として1964年に創刊されました。それが徐々に読者を集め、1979年には『科学』と『学習』を合わせて、発行部数670万部にまで達しました。当時の児童数1,200万人の半数くらいが購読する商品になりました。一度2010年3月に休刊になりましたが、新しい『学研の科学』のステートメントに書かれている「わからないことに出会ったとき、何が正解か迷ったとき。まず自分の手を動かしてみる。思い切ってやってみる。そんな子どもたちを増やしたい」という想いから、12年後の2022年に復刊しました。新しい『学研の科学』は①キット、②科学の世界を解説している本誌、③『学研まんがひみつ』シリーズ、④オンラインコミュニティの4つを通じて、「ほんものの科学体験」を提供しています。
読者と継続的につながっていくことです。本は書店さんを通してお客様に販売されます。わたしたちとお客様が直接つながっているわけではないので、読者の「顔」を知るためには主に読者アンケートなどが頼りになります。でも、わたしたちはもっと読者のことが知りたくて、読者の「生の顔」を見たかったのです。実験キットを使っているのはどんな場所か、何がむずかしくて何が楽しそうなのか。ロケットを飛ばしたときの声や表情、プロジェクターの絵を写している部屋、顕微鏡で何をのぞいているのか。読者に魅力的な商品をつくるためには、子供たちや保護者のリアルを知ることはとても重要だと思っています。読者アンケートでは感じられない、キットを動かしながら汗を流している子たちや、自発的にキットを改造して楽しんでいる子供たちなど実像を掴む必要があります。
復刊に際して、本来の特徴である実験キットや情報が満載の本誌に加え、「子供たちにプラスアルファで提供できるものがほしい」と商品設計を考えていました。昔の『科学』は学校販売されたり、同じクラスに読者が何人もいたりしたので、「科学のふろく、つくった?」ということが子供たちのおしゃべりの話題となっていました。おうちに帰ってまずは一人で心ゆくまで楽しみ、次の日の学校でその体験を友だちと共有する。この共有体験が楽しさを倍増させていたはずです。時代は変われど、同様に体験を共有できる場があるといいと考えました。今の子供たちはスマホやタブレットにも慣れているので、昔にはなかったデジタルなツールを通じて、子供たち同士がつながる体験を提供しよう、と決めました。
子供向けのコミュニティなので、シンプルでわかりやすく読者が投稿できること、編集部が気軽に情報発信できることが大事だと考えていました。さらに、保護者が安心して子供に使わせられるようなクローズドな環境も大事です。最後に、学研のサービス共通で利用可能なGakkenIDとの連携がスムーズにできることも重視しており、これら全ての条件を満たしているのがcommmuneさんでした。
わかりやすく言うと、子供たちから見たら「いっぱい自慢する場」、編集部から見たら「子供たちを褒める場」です。
実際にぶんだ研では、オンラインワークショップやイベントに無料で参加できたり、本誌と連動した動画や本誌のテーマとは離れたオリジナルの動画が見られたり、離れた場所にいる編集部や他の読者たちと、つながることができます。commmuneの機能を活用し、いいね、コメントなどの活動をすることでポイントとバッジをゲットすることもできます。
コミュニティの目的は、読者の子供たちが編集部と、そして世界じゅうの友達と「科学」というキーワードでつながることです。狙いは三つあります。一つ目は、承認・成功体験を支援することで、次のトライにつながったり、科学をより好きになり楽しむきっかけになるのではないかと考えています。二つ目は、充実した『学研の科学』ライフを楽しむために、本誌に落とし込めない季節の天体情報やノーベル賞受賞などの旬のコンテンツを届けること。三つ目はビジネス的な観点ですが、最終的に継続購入につなげるということです。
本誌の一つ一つのコンテンツにQRコードを設置し、そこから直接コミュニティに飛ぶことができます。組み立て方、使い方の動画に飛んでキットを作ったり、本誌の問題の答えをぶんだ研内で確認できるという形になっています。
また、ぶんだ研は本誌を購入しなくても無料で登録できるため、GakkenIDをお持ちの方にコミュニティについて案内したところ、多くの方に利用してもらうことができました。
コミュニティのメンバーはまだ子供なので、コミュニティ内でどのように振る舞えば良いのかがわかっていないことが多いです。なので、まずは投稿してみよう、いいねをしてみようといった投げかけを編集部からしています。
また、投稿をするとダイタナという編集部のメンバーが絶対に返信をくれるので、どんな投稿でも必ず返事がもらえるし、コミュニティに参加できているという安心感を感じてもらいやすいと思います。自分の投稿に反応してもらえたり、返事がもらえたりするのは大人でもうれしいもので、これがコミュニティを定期的に訪れるモチベーションになってくれていると感じています。
科学にとても興味がある子供が、「砕氷艦を見学してきたよ」というテーマで、気づきや感じたことを投稿をしたところ、「いいね」などの反応はもちろん、「私は実物大の砕氷艦の絵を学校の校庭に描いてみたよ」「私は別の種類の砕氷艦を見学したことがある」などの濃い反応が相次ぎ、共感しお互いの体験をリスペクトし合う雰囲気が生まれました。普通の大人からしてもややマニアックな「砕氷艦」というテーマで、ぶんだ研に集う子供たちが盛り上がっていることに驚きました。ひょっとしたら普段学校ではこういった知識は共有しづらい場面もあると思いますが、ぶんだ研では出る杭が打たれないどころか自分の知識や体験を、興味の対象が似ている仲間たちに褒めてもらうことができる。こうして子供たち同士で体験を深められているのはすごくいいと思います。
子供の夢がかなう場にしたいと思っています。2023年2月にJAXAの民間宇宙飛行士の選抜試験に合格した諏訪理さんという方がいます。諏訪さんが宇宙飛行士に応募した理由が、子供の頃に雑誌の企画でNASAに行き、宇宙飛行士から宇宙の凄さや素晴らしさを直接聞き感銘を受けて以来、ずっと宇宙飛行士になりたいという夢を持っていたからだそうです。実はその雑誌というのが『学研の科学』で、当時JAXAと一緒に読者をNASAに連れていきレポートを書くという企画を立案したものでした。子供にとって機会があることは、夢に出会ったり可能性を広げるチャンスを秘めている、ということをリアルに感じられる話で、ぶんだ研もその可能性を秘めています。なので、中長期的にていねいにコミュニティを運営して、諏訪さんのような体験をする子供を一人でも増やしたいです。
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commmuneをどう使う?活用ケース分類
個人学習が中心で会員同士の距離が遠くなりがちな教育業界におけるマーケティング課題と、コミュニティによる課題へのアプローチ方法を紹介しています。
コミュニティで同じ目標を持つ会員同士が繋がり、知見や感想の共有や励まし合いうコミュニケーションを通じて、会員の学習意欲を醸成し、学習継続率を高めることが期待できます。
教育業界のコミュニティ活用事例も盛り沢山です!
学ぶもの同士が繋がる場を提供している事例