[課題]
・熱狂的なファンの方と直接つながり深い会話ができる場がなかった[活用内容]
・絶品かっぱえびせんや晩酌を楽しむ様子を共有
・オンライン飲み会で社員とファンが友達のように交流
・お客様と共創で商品開発[成果]
・新商品の感想だけでなく、普段聞きづらい顧客の本音や開発のヒントを知ることができる
・数あるロングセラーを差し置いてブランド推奨度が上位
・熱狂的なファンと直接話すことで社員のモチベーションアップ
カルビー株式会社は1949年に創業した菓子・食品のメーカーです。1955年にかっぱえびせんの元祖になる「かっぱあられ」を販売開始し、これにえびを練り込んだかっぱえびせんが出来ました。その後、ポテトチップス、フルグラ、じゃがりこといったロングセラーのブランドが多く立ち上がりました。
かっぱえびせんの認知率は99%で誰もが知っているブランドですが、選好性に課題を抱えていたことが、絶品かっぱえびせん誕生のきっかけです。
森岡毅さんの著書『確率思考の戦略論』では、ブランドが成功する為には、認知・配荷・選好性(プリファレンス)の掛け合わせが一番の近道と言われています。かっぱえびせんは認知・配荷には問題がなさそうですが、選好性については、指名買いされているか・日常で話題になっているのか、という点に疑問がありました。
そこで、2020年の4月に「“あなたの特別なお酒の時間”を充実させるかっぱえびせん」というコンセプトで絶品かっぱえびせんシリーズを立ち上げました。ターゲットは「お酒が大好きなイケオジ」という特定の層に限定しました。イケオジとはイケメンのオジ様ではなく、「お酒のために日々仕事を頑張っている愛らしい方」です。
販売開始後すぐに多くの熱狂的なファンの存在に気づいたことが最初のきっかけです。通常スナック商品は1袋ずつ買うことが多く、特に新商品はリピートに繋げることが大きな課題とされています。しかし、絶品かっぱえびせんに関しては箱買いをしたり、お店にある商品を全部購入したり、空き袋を片手に30店舗を回って「この商品ないですか?」と探し回ったりと、熱狂的なファンの方々がお客様相談室に多く連絡をくださりました。
加えて、消費者調査の際に「絶品かっぱえびせんを食べているシーンの写真をください」とダメ元で依頼したところ、満面の笑みのイケオジがビールと絶品かっぱえびせんと映っている写真がたくさん届きました。許可をいただきその写真を販促や商談資料などで使わせていただいたところ、社内外からの反響が大きいプロモーションとなったのです。これが熱狂的なファンの方との最初の共創でした。
最後のひと押しとなったのは、ファンマーケティングで有名な企業の担当者様との会話です。上記の取り組みをお伝えしたところ、「とても良いですね。でもこのファンの人たちには直接会いましたか?ファンの方に会うのは百利あって一害なしですよ」とアドバイスをいただきました。私達はこの時ファンと直接会えていなかったので、ファンと直接会話し、一緒に施策に取り組んで最終的に応援もされているそのブランドや担当者様が羨ましい!と感銘を受けたのです。
そうして生まれた、熱狂的なファンと顔を突き合わせて直接対話をしたいという思いと、ブランドとお客様の深いキャッチボールができる「場」を作りたいという思いから、コミュニティを作りたいと思いました。そんな折に、たまたまコミューンさんのTVCMが流れてきたので、問い合わせし導入に至りました。
commmuneさんの他に2〜3社の話を聞きましたがcommmuneさんは他社さんと熱量が違うなと感じました。ご提案時に言われた「一時的な施策としてではなく、コミュニティを継続することによって、ファンの熱量を上げるというビジョンが実現できますよ」という言葉がcommmuneさんを選んだ理由です。
また、プラットフォームがとても使いやすい点も決め手の一つです。イケオジにはSNSを使いこなせない方もいらっしゃるので、操作が複雑だと積極的に参加してもらえずコミュニティが活発にならないという懸念がありましたが、簡単に操作できるUIだったのですごく良かったです。
実際に取り組みをご一緒していて、サポート体制が心強いと感じています。コミュニティ運営はかっぱえびせんブランドにとって初めての取り組みですが、カスタマーサクセスの方に細やかに支援をしていただき、この先コミュニティをどうしていくかを戦略パートナーのように面と向かって話せる関係性があるのは助かっています。
酒と絶品かっぱえびせんをこよなく愛するイケオジ達が集う、「絶品部 やめられない、とまらない課」というコミュニティです。ここは、「同志としてイケオジと本音で語り合える唯一無二の場所」だと思います。絶品部では、絶品シリーズを食べたら投稿する「絶品日報」、毎晩の晩酌の様子を自由に投稿する「晩酌報告」、コミュニティ名の募集や好きな味のアンケートを実施する「イケオジ企画会議」といったコンテンツがあります。他にも、メンバー限定のオンライン飲み会や商品共創プロジェクトなどを不定期で開催しています。オンライン飲み会は、ビールを片手に乾杯から始まり、企業とお客様という立場が一切なくフラットに交流できる場となっています。
カルビーの会社のイメージを一言で表すと「フレンドリー」です。お客様に近いブランドでありたいという思いが全社としてあるため、私はコミュニティでは「ブランド担当のだわちゃん」として顔出しをしています。私がこの商品を作ってますというのをしっかり示してコミュニケーションをとることで、お客様も自分をさらけ出してくれているので、本音での会話が生まれていると思います。
その上で、できるだけファンの方たちが普段触れることのないような情報をお届けするよう心掛けています。例えば、商品の開発段階での失敗談や、タレントさんとのタイアップの際の撮影の裏話などを投稿しています。
新商品の感想だけでなく、何が良かったのかという通常の消費者調査では聞きづらいことや開発のヒントになることを忖度なく教えてもらえるところです。
また、今はメーカーの1商品の細かいこだわりに興味を持ってもらえる時代ではないと思うのですが、絶品部のみなさんは、絶品かっぱえびせんやかっぱえびせんの情報を親身になって聴き、共感してくれるというのも良いところです。 ファンの方との初めてのオンライン飲み会も大変印象的でした。イケオジと何を話せば良いのか緊張しながら始まったのですが、実際は全員がビール片手に参加していることもあり、すぐに打ち解けることができました。熱狂的なファンと直接会話し、美味しいと言ってもらえるのはブランド担当者として泣きそうになるほど嬉しいことですし、そのような機会は通常業務ではなかなかないので、社員のモチベーションも上がる貴重な機会でした。
2023年度発売予定の商品をお客様と一緒に創る「絶品かっぱえびせん新味共創プロジェクト」を実施しています。まずコミュニティ内で味のアイデアを募集したところ、50個以上もアイデアをいただき驚きました。コンセプトと塩の相性などからいただいたアイデアを社内で4案に絞り、絶品部内のオンライン投票で2案を選定、オンライン試食会での参加者の最終投票を経て発売商品を決定しました。今後は社内で製品化に向けて動いていきます。
絶品かっぱえびせんシリーズとカルビーの数あるロングセラー商品、競合品も含めて、推奨意向調査を行ったところ、全体でも上位という結果が出ました。推奨意向はその商品を心から好きな人がいないと高いスコアが出ません。しかし、絶品かっぱえびせんは新規シリーズで、認知率も30%ほどだったのにも関わらずこの驚異的な結果を叩き出しました。コミュニティを始めたからこの数値になったとは言い切れないのですが、この商品自体が熱狂度の高い商品であることが証明されました。これからも絶品部でファンの方と一緒にブランドを育てて、ブランドの推奨意向1位を目指したいと思います。
数値的指標としては、単純に参加人数が増えれば良いとは思っていないので、コミュニティの参加人数は追いかけていません。それよりもコミュニティでしっかりお客様とコミュニケーションを取ることで、熱量の高いパワーユーザーの方の割合を増やしていくことが商品のリピートにも、ブランド好意度の更なる向上にも繋がってくると思います。
絶品かっぱえびせんのファンになった方から、「赤色のかっぱえびせんも久しぶりに買った」というお声をいただくことがあり、絶品かっぱえびせんがかっぱえびせんブランド全体に影響を与えていると感じます。コミュニティで話題になり、熱狂的なファンの方々が自信を持っておすすめする商品ということで、販売店舗との商談での説得力も増していくと思います。例えば、今回絶品かっぱえびせんは新商品なので、リピート率が大事な指標となるのですが、コミュニティでの盛り上がりが、根強いファンがいるという裏付けとなっていくと信じています。
加えて、ファンの方々の口コミからその周りの方々まで、どんどんコミュニティの輪が広がって欲しいです。そしてコミュニティを見て商品を実際に買っていただく際には、絶品かっぱえびせんのみならず、通常のかっぱえびせんの売上にも繋がって欲しいと思っています。
commmuneをご利用いただいている事例を活用方法ごとに整理!自社と同じ課題・導入目的を持った企業の事例がわかります!
commmuneをどう使う?活用ケース分類
低関与商材で、流通を介するビジネスモデルから顧客理解の難易度が高い食品業界の企業が抱えるマーケティングの課題と、コミュニティによるアプローチ方法を紹介しています。
ファンが企業や他のファンとつながるコミュニティ施策を通じて顧客エンゲージメントを高めることで、熱量の高いUGCの創出や商品開発・プロモーションへのファンの巻き込みが期待できます。
食品業界でのコミュニティ活用事例も盛り沢山です!
コミュニティを活用しユーザーとの商品共創を目指す事例