近年、カスタマーサクセスという言葉が、ソフトウェア業界を中心に浸透してきました。発祥の地であるアメリカでは2015年ごろより普及し始めていましたが、日本では2018年ごろから急速に広がりを見せつつあります。
カスタマーサクセスは、BtoBやSaaSにおいて必要性が語られる場面が多いですが、実はそれにとどまる概念ではありません。今後、業界業種を問わず多くの企業が実践し、マーケティングやセールスのように企業にとっての「当たり前」になるポテンシャルを秘めています。
しかし、まだまだ日本のビジネスパーソンの間では、認知度が低いのは事実です。そこで今回は、今後様々な事業において重要性が高まっていくカスタマーサクセスの基礎知識をご紹介します。
これさえ読めば、明日から「カスタマーサクセスとは何か?」を人に説明できるようになります!
カスタマーサクセスとは「顧客が、自社サービスやプロダクトを通じて求める成果創出・課題解決を担保・促進すること」です。
直訳すると”顧客の成功”ですが、文字通り”顧客が成功している”状態を目指して、サービス提供後にトレーニングをしたり、顧客の課題を先回りして解決したりすることを指します。
このようにして顧客が成功を実感することで、購買回数や継続期間、顧客単価の増加につながり、結果として
つまり、カスタマーサクセスとは決して慈善行為ではなく、最終的には自社の利益につながる行為なのです。
例えば、当社が提供しているカスタマーサクセスプラットフォーム「commmune」を題材に考えてみましょう。
「commmune」は、企業×ユーザー、ユーザー×ユーザーのコミュニケーションを集約統合・双方向化するコミュニティを構築できるツールです。
- ヘルプページやサポートセンター、公式ウェブサイト、メルマガなどバラバラだったタッチポイントを集約することで顧客体験が向上するだけでなく、集約したデータをもとにした精度の高い分析〜個別最適なアクションまで一気通貫で実現できます。
- また、コミュニケーションを双方向化することでユーザー同士の課題解決も促進され、サポート工数も削減でき、結果としてカスタマーサクセスのROIが最大化します。
▼詳しい説明はこちらの資料をご覧ください
仮に、健康食品を提供するサプリメント企業A社にcommmuneを導入していただいたとします。
A社の導入目的は、お客様のリアルな活用シーンを他のお客様に伝えるため、そして、お客様のフィードバックをいち早くキャッチアップするためです。
もし当社が、短期的な視点でビジネスを行なっていたとしたら、ツールの提供がゴールになるでしょう。
しかし、それだけでは、コミュニティという場を活性化させることは難しくなるはずです。当然、お客様のロイヤルティも高まりません。
これでは、A社が価値を実感したり成果を得たりすることはできません。結果として、commmuneを使い続けることもなくなるでしょう。
A社が最終的に実現したい成果は、お客様同士の積極的な情報共有、あるいは、お客様の声を活かした製品開発が進むことで、お客様がもっとA社を好きになり、サービス継続率が向上することです。
つまりA社にcommmuneを使い続けてもらうためには、A社の先にいるエンドユーザーのサクセスが必要であるということです。そしてそのために、コミュニティの数値分析をして反応の良いコンテンツを見極めたり、盛り上がるための具体的なアクションの提案をしているのです。
そしてまさに、この数値分析や提案こそがカスタマーサクセスになります。
当社はSaaSを提供する会社ですが、ただSaaSを提供するだけにとどまりません。契約を継続してもらうためには、お客様に成果を実感してもらう必要があり、そのために、顧客(カスタマー)の成功(サクセス)にコミットしているのです。
自社の事業成長のために、顧客の課題解決・成果創出を担保・促進すること、それがカスタマーサクセスと言えます。
▼カスタマーサクセスの実例について知りたい方はこちら
(BtoC、食品)ベースフード株式会社 vol.2
(BtoB、ソフトウェア)ウイングアーク1st株式会社
カスタマーサクセスとは決して珍しい考え方ではありません。そう形容されていないだけで、世の中にはカスタマーサクセスと呼べるアクションはたくさんあります。
例えば、学習塾の担当講師に、褒められたり励まされたりしたことはありませんか?実は、これもカスタマーサクセスのひとつと捉えられます。
多くの生徒は成績アップを目的に塾に通っているでしょう。その目的を達成するためには、モチベーションを維持することが不可欠です。講師は、そのために生徒を褒めたり励ましたりしているのではないでしょうか。
生徒の望む成果の創出を促進しているという意味では、カスタマーサクセスと言えるでしょう。
カスタマーサクセス(Customer Success)は、英単語の頭文字をとってCSと略されることも多く、よくカスタマーサポート(Customer Support)と間違われます。
確かに、顧客の課題を解決し満足度を高めるという点では共通しているのですが、本質的には全く異なるものです。
両者の違いはどういったものか、いくつかのポイントを比較してみましょう。
カスタマーサクセスの目的は、先ほど確認した通り「顧客が求める成果創出・課題解決を担保・促進すること」です。文字通り「顧客(カスタマー)」の「成功(サクセス)」を目指しています。
一方、カスタマーサポートの目的は「顧客が抱えている問題を収束させること」です。簡単に言えば「顧客(カスタマー)」を「後援(サポート)」することになります。
フォーカスしているのが顧客の成功なのか、不満なのか、という点で違いがあるのです。
目的の違いはアクションにも現れます。
例えば、先ほどあげた学習塾を例に考えてみましょう。
学習塾に通っている生徒の全員が、必ずしもその塾に満足しているわけではないでしょう。「もっと夜遅くまで自習室が使えたら良いのに」「集団授業も良いけど、個別に教えてくれる時間があると嬉しい」「ノートを取るのは大変だからプリントにまとめてくれると助かる」など、多少なりとも不満や要望はあるはずです。
こうした生徒が抱えている問題を掬い上げて解消するために、意見箱や相談コーナーを設ける、そして寄せられた問題に対処する。これがカスタマーサポートです。
カスタマーサポートの目的は「お客様が困っている時に、抱えている問題を収束させること」であり、実際にアクションするのはお客様から意見が寄せられてからです。つまり、「待ち」の姿勢であると言えます。
しかし、不満や要望のある生徒の全員が声を上げるわけではありません。中には、意見箱や相談コーナーを利用することなく、辞めてしまう生徒もいるでしょう。
現実的にはこのようなサイレントカスタマーが多数を占めています。
では、自主的に声をあげない生徒の問題は解決しなくて良いのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。
例えば、生徒の不満や要望を掬い上げやすい仕組み・環境を作るために、定期的に面談の時間を設けたり、年齢の近いチューターを雇ったりすることは効果的でしょう。
また、そもそも不満や要望を感じさせないよう、個別授業のプランを用意したり授業プリントを配布したりできれば、生徒の満足感も上がるはずです。
さらに言えば、先ほどあげた生徒の不満や要望も全て「成績を上げたい」という目的から発生するものなので、確かなクオリティの授業を提供し、生徒の求める最終成果を担保してあげることができれば、生徒の塾に対する信頼感は大幅に向上するでしょう。
これがカスタマーサクセスなのです。
カスタマーサクセスの目的は「顧客を成功に導くこと」です。つまり、問題が発生してからそれに対処する「待ち」の姿勢ではなく、そもそも問題を発生させない、そして問題を見つけるところから一緒に取り組むという「攻め」の姿勢なわけです。
目的が違うので、目指すべき状態も異なります。
カスタマーサポートは、顧客が不満を抱えていない状態を目指します。つまり、マイナスをゼロにすることが目的です。
ある意味、サポートセンターへの問い合わせ件数が0であることが理想と言えるかもしれません。
一方、カスタマーサクセスは、顧客が成功している状態を目指します。つまり、ゼロをプラスにすることが目的です。
サポートセンターへの問い合わせ件数が0だとしても、顧客が望んでいる成果を手に入れられているかは分かりません。なので、顧客を成功までガイドする積極的な姿勢が必要なのです。
目指すべき状態が異なるということは、達成度を測る成果指標も異なるということです。
カスタマーサポートは、顧客から助けを求められた際に、なるべく顧客にストレスを与えないよう、迅速かつ正確に回答する姿勢が重要となります。
カスタマーサポートに電話をかけた際に、繋がるまでに何十分も待たされたらどうでしょうか?あるいは、Eメールで問い合わせをした際に、わかりづらく的外れな回答が返ってきたらどう感じるでしょうか?おそらく、今後カスタマーサポートを頼ろうという気は起きなくなり、サービス提供者に対しても不信感が募るはずです。
このように、カスタマーサポートは、タイムラグを減らし、回答のクオリティを一定程度に担保することが必要です。そのため、よく用いられる成果指標も、一次応答までの平均時間や対応件数、問題解決までのやり取りの回数、エスカレーションの回数、解決率といったものになります。
一方、カスタマーサクセスは、顧客が成果を実感し、自社サービスやプロダクトに満足していることが大事になります。
顧客が成果を実感しているかどうかは、まずは解約率に表れるでしょう。成果を感じられないサービスをいつまでも契約している顧客はいないはずです。継続率を表す指標として、
また、満足度は
企業の組織部門は、コストセンターとプロフィットセンターの2種類に分けられます。
- コストセンター:
- 利益を生み出さない部門。総務部や人事部、経理部などの間接部門、研究施設や倉庫部門など。
部門に係る費用を最小限に収めることがミッションになる。- プロフィットセンター:
- 利益を生み出す部門。営業部、マーケティング部、製造部、経営戦略部など。
収入と費用の差額である利益の最大化がミッションになる。
カスタマーサポートは、顧客満足度を高めることに貢献しますが、直接的な利益をあげないのでコストセンターに位置付けられます。
一方、カスタマーサクセスは、契約更新や
新規顧客に買ってもらうのが営業、既存顧客に買ってもらうのがカスタマーサクセス、と捉えれば、プロフィットセンターであるイメージがつきやすいのではないでしょうか。
カスタマーサクセスを理解するためには、その成り立ちを知っておくことも重要です。
カスタマーサクセスという概念・組織を最初に生み出したと言われているのが、顧客情報管理システム(CRM)大手の「セールスフォース・ドットコム」(本社:アメリカ、カリフォルニア州)です。
- CRM:
- Customer Relationship Managementの略で、顧客に関する情報全般を一元管理するツール。
具体的には、顧客との接点、商談内容、自社製品の購入履歴、要望やクレーム、問い合わせなど。CRMは医療現場におけるカルテのようなイメージで、顧客情報を細分化して記録しておくことに特徴がある。
創業者のマーク・ベニオフは、電気や水道と同じように、ITシステムもインフラ会社が設備の管理・維持を一手に担い、利用者は使った分だけ利用料を払うモデルにシフトするべきだと考えていました。これを実現するために開発されたのが、2000年に提供され始めた、顧客管理システム「Salesforce」です。
従来のITベンダーは、ソフトウェアをパッケージという形で販売していました。収益を上げられるのは初回販売時しかないので、コストを回収できるような価格が設定されます。
そのため、利用者は、初回購入時に大きなコストを払わなければならず、また、購入後の保守・運用も自分たちでコストを負担する必要がありました。ITシステムの導入は、とても気軽にできるものではなかったのです。
こうしたハードルを下げたのがセールスフォースです。セールスフォースは、クラウドを通じてサービスとしてソフトウェアを提供する、という形を取りました。いわゆるSaaSです。
ベンダーのサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由でユーザーが利用するので、「必要な数のIDを必要な期間だけ使ってもらい、その分の利用料を支払ってもらう」というサブスクリプションモデルを採用することが可能になりました。
サブスクリプションモデルは、利用者にとって以下のようなメリットがあります。
・購入時の大きな出費を抑えられる、毎月平準化した支払いになる
・買った後もずっとプロダクトの価値が最新・最適化され続ける
・不必要だと思えばいつでも辞められる
そのため、瞬く間に受け入れられ、SaaSはソフトウェアの主流な提供方法となりました。
しかし、こうしたビジネスモデルの転換は、セールスフォースがこれまでのITベンダーと同じ売り方をしていたのでは利益をあげれられなくなった、ということを意味しています。
サブスクリプションは、従来の「売り切り型」とは異なり、初回販売時にコストの全てを回収し利益をあげるような価格を設定することができません。そして、顧客は、単に全てが含まれたパッケージを提供者からリースするだけなので、簡単にサービスをやめることができます。
つまり、ベンダーが利益をあげるためには、「1人でも多くの既存顧客に価値を実感してもらい、より長く使ってもらう」ことが必要になったのです。
こうして、いかに多くの新規顧客に購入してもらうのか、という点と同じくらい、いかに多くの既存顧客に継続して利用してもらうのか、という点が重要になりました。
セールスフォースは、既存顧客との関係性を保つために、”ただシステムを提供するだけにとどまらず、顧客の業務改善を支援し成果を創出する”という「カスタマーサクセス」の概念と組織を生み出したのです。
カスタマーサクセスはもともとBtoB SaaS業界で生まれた言葉ですが、その必要性はBtoB、SaaSに閉じていません。なぜなら、今後あらゆる業界・業態において、継続的に事業成長していくためには、
そして、”長く”×”深く”使ってもらうために、買ってもらった後を大切にする考え方こそがカスタマーサクセスなのです。
では、なぜあらゆる業界・業態において
厚生労働省が発表した「
そして、日本の人口減少は、今後さらに加速していくと見込まれています。国立社会保障・人口問題研究所「
2065年の人口は、2015年時点と比較すると3,901万人の減少となり、半世紀の間におよそ3分の1の人口を失うことになります。ちなみに、かつて日本の人口が8800万人程度だったのは1955年のことです。
このように、そもそも母数が減っているので、これまでと同じやり方で新規顧客を獲得しようとしては、相対的にパフォーマンスが悪くなるでしょう。新たな市場の出現を期待するのも難しく、新規顧客獲得の難易度はどんどん上がっています。
このような市場環境では、100万人に1回買ってもらうよりも、10万人に10回買ってもらうように考え方をシフトしたほうが、より適合的だと言えます。
言い換えれば、既存顧客一人当たりの収益、すなわち
現代の日本社会は、成熟しあらゆる「モノ」が高い水準で普及しています。商品の品質や耐久性は向上する一方、競争が激化し、価格は低く抑えられる傾向にあります。今や、生活のありとあらゆる場面が便利なモノで満たされているのではないでしょうか。
このような状況では、単純に機能面・価格面で優位を追求するだけでは、他の商品と差別化することが難しくなります。
例えばファッション業界で言うと、2000年以降、ユニクロに代表されるようなファストファッションが台頭し始めたことで、低価格でも十分にファッショナブルかつ着心地の良いモノが手に入るようになりました。そのような中で、競争力を上げるために、更なる低価格化・高品質化を追い求めて勝負するのは厳しいでしょう。
では、このような「モノあまり」の時代において、数ある競合の中から選び続けてもらうために何が必要でしょうか。
その答えの一つがカスタマーサクセスです。
顧客が何を求めているのかを感じ取り、成果の実感までコミットする。このように買った後を大切にする姿勢が、顧客満足度を高めることに繋がり、商品力にプラスした付加価値になるのです。
同じブランドを着用していても、求める成果は人それぞれでしょう。「とりあえず手軽に質の良いものが買えれば良い」という人もいれば「自分の体型やタイプにあった物をレコメンドして欲しい」という人もいるでしょう。こうした顧客のインサイトを把握し、”買ってもらった後、本当の購買目的をどれだけ満たせるか”まで考えることが、顧客を惹きつける大きな魅力になるのです。
以前は「所有」することが一つのステイタスでした。特に、車や家電製品など、生活レベルを引き上げてくれるモノは、多くの人が欲しがりました。しかし、高価格であったため、なかなか手を出すことができず、結果として「所有」していることが羨望の対象になったのです。
しかし現代では、低価格でも高品質なモノが世の中に溢れるようになりました。人々の生活水準は向上し、もはや「所有」していること自体は珍しいことではなくなってしまったのです。
代わりに登場したのが「利用」という選択肢です。シェアリングエコノミーやサブスクリプションなど、日常的に利用している人も多いのではないでしょうか。
・シェアリングエコノミー
有形無形問わず、個人が持っている資産を他人と共有することです。
AirbnbやUberが有名ですが、その対象領域はかなり広がっています。例えば、民泊や会議室、駐車場といったスペースや、高級バッグや洋服といったモノなどです。最近では、家事や育児、デザインといったスキルまでシェアされています。
・サブスクリプション
利用者が“モノの数”ではなく“利用する期間”に対してお金を払うサービスのことです。
音楽配信サービスや動画配信サービスでは一般的になっており、SpotifyやApple Music、Netflix、Amazon Prime Videoなど、多くの方が日常的に利用しているのではないでしょうか。その他、漫画や小説、コスメ、バッグ、アクセサリー、家電など、あらゆる領域でサブスクリプション化が進んでいます。
このような利用型サービスは、顧客が簡単に離脱できることが特徴です。インターネット環境とインターネットにアクセスできるデバイスさえあれば、登録するだけで利用できます。
つまり、満足できなくなった時点で、顧客は簡単に契約関係を解消したり他社製品に乗り換えたりすることができるのです。
利用型サービスの場合、「売ってしまえば終わり」ではなく「売ってからが始まり」です。本当に価値を感じてもらえなければ継続して利用してもらえず、利益を上げられません。だからこそ、顧客の成果創出にコミットするカスタマーサクセスが重要なのです。
高度情報化社会となり、皆がスマートフォンを持つようになったことで、私たちは文字通り情報を手中に収めることが可能になりました。企業発信の情報を顧客が一方的に浴びるのではなく(プッシュ型)、顧客が欲しい情報を欲しいチャネルで自ら取得する(プル型)ようになったのです。
プッシュ型社会は、ニーズが同質化します。皆が同じ情報源から同じ情報を取得するためです。したがって、企業が、顧客をひとくくりに「マス」として捉え、大規模プロモーションを展開し新規顧客を囲い込もうとするのは理にかなっていました。
一方、プル型社会では、一人ひとりが違う情報を取得します。すべての個人がバラバラの情報をバラバラの嗜好に基づき収集することで、「スモールマス」が数多く形成されます。つまり、「マス」という概念で一括りにすることが難しくなるのです。
こういった社会では、マスプロモーションによって価値を訴求できる対象者はどんどん狭まり、マス広告による効率性も下がっていきます。
つまり、100万人に1回買ってもらうよりも、10万人に10回買ってもらう考え方にシフトしたほうが、より合理的ということです。
10万人に10回買ってもらうために必要なのが、買ってもらった後を大切にするカスタマーサクセスです。
カスタマーサクセスに取り組み始めて、最初に現れる効果が
カスタマーサクセスでは顧客に対して積極的に働きかけ、将来起こりうる問題を未然に防いだり、顧客との関係性を強化し、ネガティブな感情を抑えたりします。それにより、顧客の大きな不満がなくなり、解約率を減らすことができます。
また、関係性を強化することで、以下のような思わぬ解約リスクを事前に察知することができるようになります。
・顧客の事業戦略の変更
・サービス導入責任者の異動、退職
カスタマーサクセスは、サービス利用者の声を最も拾いやすい立場にいます。「顧客が日々、何に困っているのか」「どこがどう変われば利便性が増すのか」に向き合うことが仕事だからです。
こうした顧客との対話の中で得られた改善点やアイディアなどは、開発現場への有益なフィードバックになります。
さらにフィードバックが生かされることで、顧客にとっては、自分の希望するアップデートがなされたという体験に繋がり、更なる
また、顧客のインサイトを把握・共有することは、開発部門だけでなく、マーケティングやセールスといったビジネスサイドの部門にとっても好影響をもたらします。
マーケティングやセールス部門が日常的に顧客と接点を持ち、課題感や満足感をヒアリングすることは難しいでしょう。なかなか知ることのできないリアルなインサイトを知ることで、より効果的な価値訴求ができるようになります。
カスタマーサクセスの目的は、「顧客が求める成果創出・課題解決を担保・促進すること」です。この目的が順調に遂行されれば、顧客はその企業を、自分たちの成功に伴走してくれるパートナーだと感じるようになります。
製品やサービスの価値には「機能的価値」と「情緒的価値」の二つがあります。「機能的価値」は、製品やサービスの機能・性能に対する価値のことであり、「情緒的価値」は、その製品やサービスから受ける印象に対する価値のことです。
カスタマーサクセスに取り組むことで、顧客に安心感や信頼感を抱かせることになり、機能的価値だけでなく情緒的価値も向上します。
市場競争が激しい現代において、事業を安定的に成長させるためには、なくてはならない存在だといえます。
カスタマーサクセスに取り組むことで、先ほど述べた通り
加えて、関係値を深め、顧客のニーズを見極めて最適な提案を行うことで、
結果として、カスタマーサクセスに取り組むことによって、一人の顧客からの収益を最大化することができるのです。
既存顧客からの収益アップは、新規顧客を獲得するより5分の1のコストで済むという法則もあります(
おさらいになりますが、カスタマーサクセスの目的とは「顧客が、自社サービスやプロダクトを通じて求める成果創出・課題解決を担保・促進すること」です。
この目的を効果的に達成するためには、カスタマーサクセス部門のみの取り組みでは不十分です。なぜなら、顧客の成果創出・課題解決に関わるのは、カスタマーサクセス部門だけではないからです。
例えば、プロダクトを提供している企業の場合、顧客の成功に最も大きな影響を与えるのは、プロダクトの機能性や利便性でしょう。そのため、開発部門は、顧客からのフィードバックを積極的に生かすべきです。
また、使用方法や外部ツールとの連携といった専門的な知識が問われるお問い合わせについても、開発部門が協力する姿勢が必要になります。
これが、「自社のプロダクトは優れている」と考え、顧客の意見に耳を傾けなかったり、お問い合わせに対しきちんと返答をしないというカスタマーコミュニケーションのあり方だと、顧客に対する価値提供が最大化されません。
また、後述しますが、顧客を成功へ導くためには、そもそも自社のプロダクト・サービスを用いて成功する見込みがある”正しい顧客”に販売することが必要です。そのために、どのような見込み顧客を獲得し商談に繋げるかについて、マーケティングやセールスと連携しなければなりません。
このようにカスタマーサクセスは、決して一部門で完結するものではなく、全社で取り組んでこそ顧客を成功へ導くことができます。
「顧客への価値提供を最大化すること=自社の収益の最大化につながる」という認識を全社的に共有し、その上でカスタマーサクセス部門が牽引していく状態を作るべきです。
そもそも「顧客の成功」の定義が曖昧で社内で共有されていなければ、最適なアプローチを取ることはできません。「顧客の成功」が明確になってこそ、正しい数値目標の設定と適切な戦略の策定、具体的な実行方法の選択ができます。
まずは、顧客の成功に関して、クライアントと社内担当者の認識をすり合わせる必要があります。その際、注意しなければならない点は、顧客の成功の定義はおそらく顧客によって異なるということです。
そのため、カスタマーサクセスに取り組む初期は、顧客と丁寧にコミュニケーションをとり、なるべく個社、個人ごとに解像度を上げていくプロセスを踏むことが大切です。時間がかかっても、まずは、目の前の相手一人一人に向き合っていくべきです。
正しい顧客に販売する
カスタマーサクセスに取り組む上で注意しなければならないのは、中には、自社のサービス・プロダクトではサクセスできない顧客がいるかもしれないという点です。
サービス・プロダクトには提供できる価値の範囲に限界があります。そのスコープから外れた成果を求めている顧客は、残念ながらいくら頑張ってもサクセスさせることは難しいでしょう。
”双方が何も得られなかった”という、無意味な時間と労力をかけてしまうだけでなく、「成果に結びつかなかった」「支援が不十分だった」という悪評が立ってしまう恐れもあります。
カスタマーサクセスの貴重なリソースは、成功するべき顧客に費やすべきです。そのためには、クライアントの解像度をあげ、正しい顧客を見極めることが必要です。
全てのカスタマーサクセスは、クライアントの成功へと伴走するパートナーであるという意識を持つべきです。
サービスを導入したてのクライアントは、いわば初めての土地を歩く旅人のようなものです。不慣れで不安を感じている彼らに寄り添い、二人三脚で、ともに課題にぶつかりともに乗り越えるような、地道な活動をもいとわない意識を持つべきです。こうすることで、クライアントとの間に強固な信頼関係が構築されるはずです。
パートナーであるということは、何でもかんでも首を縦に振れば良いというわけでもありません。あくまで、目指すべきは「顧客の成功」です。もし、「顧客の成功」から遠ざかるような意見であれば、たとえクライアントの意見であったとしても、NOを突きつけることも必要です。また、時には、クライアントに発破をかけ歩みを促すことも大切です。
信頼関係を構築するということは、ただ仲良しになるということではありません。
気をつけなければならないのは、アドバイザーのような立ち位置にならないことです。当然、提供側の方が、自社プロダクトやサービスについて専門知識は持っているでしょう。しかし、それらをただ伝達することにはなんの価値もありません。アドバイスを伝えた後、実際に顧客がどのような結果を得たのか、にまで責任を持つのがカスタマーサクセスです。
要所要所で方向性をガイドするだけでは、目的地まで辿り着けないのです。
また、ベンダーのような立ち位置に止まってしまうことも避けなければなりません。多くの場合、ツールを提供されただけで、提供者の意図を全て理解し100%使いこなすことは不可能です。提供者と利用者の間には、リテラシーに大きな差があることを把握していなければなりません。
・・・
現代では、インターネットを介して様々な情報を手に入れられるようになりました。購入前に利用者のリアルな声をたくさん集めることができます。そもそも購入ではなく利用という選択肢も一般的になりました。高い値段を支払わずに、使いたい時に手軽に使えるようになったのです。
このような状況では、顧客に本当に価値を感じてもらわなければ、選ばれ続けることはできません。
いつの時代も顧客がプロダクトやサービスを通じて求めているのは、自身の成功です。つまり、本当に顧客の成功に向き合わなければ、企業も成功できない時代がやってきたと言えるでしょう。
BtoBやSaaSに限らず、どの業界・業種の企業も、成功のためにカスタマーサクセスに取り組む必要が出てきたのです。
【資料ダウンロード】3分でわかるcommmune
commmuneでは専属のカスタマーサクセス担当とデータサイエンティストが両輪でコミュニティ立ち上げ、運用を支援。管理保守はコミューン社が行うため、限られた担当者リソースは戦略検討など前向きな業務に集中していただけます!
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