昨今、Webマーケティングの世界で、グロースハックという言葉を耳にする機会が多くなりました。しかし、その正確な意味まで理解しているという人は、あまり多くないのではないでしょうか。
今回は、グロースハックという言葉の概要から重要性、さらに具体的な実践方法までを詳しく解説いたします。
グロースハックとは、マーケティングや開発が部門横断的に連携し、サービスやプロダクトの改善をモニタリングしながら、その商品・サービスを継続的かつ急速に成長させることです。
Growth(成長)+Hack(仕事の質、生産性を高めるためのテクニック、術)という成り立ちからもわかる通り、「ビジネスの継続的な成長(グロース)を、高い技術力によって仕組化(ハック)する」という意味合いが込められています。
グロースハックは、ドロップボックス社の創業当初、マーケティング部門を支えたショーン・エリスが命名した言葉です。1990代後半、当時ゲーム会社に勤務していたショーンは、グロースハックの手法でその会社を業界トップに押し上げました。
グロースハックは比較的新しい概念なので、公的・中立機関が定めている定義などはなく、用いられる状況によって意味に幅を持つ言葉です。しかし、そのエッセンスの認識は、ある程度一般化されており、具体的に下記3つに集約することができます。
一つ目は、サービスやプロダクト自体を改善していく志向性があるという点です。つまり、マーケティングだけではなく、開発にも視点が向いているということです。例えばマーケティングの場合、完成された商品をいかにユーザーへ効率的に訴求していくのかを考えますが、サービスやプロダクト自体を変えていくことには、視線が向きません。しかし、グロースハックの場合、サービスやプロダクトが継続的かつ急速に成長するのに必要であれば、設計自体に立ち返り改善していくこともあります。
二つ目は、ユーザーに関する深い洞察を得るために、データに基づく仮説検証・分析を重要視している点です。グロースハックは短期間で確実に成果を上げるために、効果的で意味のある施策を打つ必要があります。そのために、ユーザーの思考や嗜好がよく表れる、行動データを徹底的に追います。
三つ目は、アイデアを迅速に生成・検証し、その結果を次に活かすというサイクルを高速で回すという点です。グロースハックは、サービスやプロダクトの継続的かつ急速な成長を目的とします。そのため、素早い仮説の構築と、その仮説を検証するための施策の実施を、何度も何度も地道に繰り返していきます。したがって、一つ一つの施策は必要最小限のコストで行われます。
グロースハックは、サービスやプロダクトの継続的かつ急速な成長だけでなく、ブランド価値の向上や採用活動の成功、ファン獲得のための施策にも非常に有効な手段であると言えます。なぜなら、これまでのマーケティング手法よりも費用をかけずに効率的・効果的に、短期間で成果を上げることができるからです。
グロースハックが注目されるようになった背景として、近年さまざまな業界でサービスや製品のライフサイクルがますます短くなっていることがあります。
価値観の多様化や技術革新の変化のスピードは非常に速く、また特にIT・Webの発達により参入障壁が低下したことや新たな産業領域が生まれたことによって、企業間の競争はより激化しています。
こうした社会状況においては、素早く変化するユーザーニーズにサービスやプロダクトを対応させ、競合企業に対する優位性を保たなければ、ユーザーの支持を失い競争に負けてしまいます。
そのため、従来よりも費用をかけずに効率的・効果的に短期間でサービスや製品を常によりよく改善し、進化させられるグロースハックの考え方が求められていると言えます。
グロースハックを実践する際の基礎となるフレームワークと3つの分析手法を解説します。
AARRRは、サービスやプロダクトを利用するユーザーの状況を段階的にとらえて、事業の成長をモニタリングしていく方法です。
①Acquisition(獲得:より多くの新規ユーザーを獲得する)
②Activation(活性化:より利用してもらえるようにユーザーを活性化する)
③Retention(維持・継続:より長くユーザーに継続して利用してもらえるようにする)
④Referral(紹介:ユーザーからの口コミや媒体を使って友人・知人への紹介を促進する)
⑤Revenue(収益化:収益を最大化する)
AARRRは、ユーザー獲得や収益化だけに注目するのではなく、顧客のさまざまなフェーズを意識して、その段階ごとに解決すべき課題がないか検証しながら施策を展開し、プロダクトを成長させるという目的に基づいています。
分析手法1:A/Bテスト
異なる2つの施策を比較して、どちらが効果的かを判断するための手法です。
たとえば、デザインやレイアウトが異なる2つのホームページを用意してコンバージョンを測定し、目的達成にどちらが効果的かを調査する、といったものです。
分析手法2:コホート分析
一定の条件でユーザーをグループ分けし、それぞれの行動を分析する手法です。
たとえば、内容の同じキャンペーンを時期を変えて実施し、一定期間経過後のユーザー行動の相違点を分析する、といったものです。
グループ間の違いを明確にできれば、分析結果を活用して効果的なマーケティング戦略の立案が可能です。
分析手法3:ファネル分析
商品購入や会員登録など、アプリ内でユーザーにしてほしいアクションに至るまでのプロセスの離脱率を把握し、どこで多くのユーザーが離脱しているかを確認する分析手法です。
幅広く集客した見込顧客がコンバージョンに至るまでに少数に収斂されていく様子から、日本語で漏斗(ろうと)を意味する「ファネル」の言葉が用いられています。
一般的に、「認知、興味・関心、比較・検討、購入・申込」の4段階に分けて分析するケースが多いです。
最終的にコンバージョン後の顧客満足の向上までを目的としており、どのステップで離脱率が高いのかを把握して、コンバージョンに結びつく改善案を立案し、実践するのが特徴です。
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