commmuneでは、多くの企業コミュニティ運営をご支援する中で、コミュニティ施策を行うことによって「最も早期に創出される価値」はユーザーをよりよく理解できることであることがわかってきました。
実際のお客様へのインタビューでも、「ユーザー理解を深められたことが一番の価値」との声が出てくることも珍しくありません。
(ベースフード株式会社さまのインタビュー記事は
実際に定量的な効果も実現できています。
例えば某リテール企業さまでは、コミュニティによる顧客インサイト取得に取り組んだことで、対面で行っていたユーザーヒアリング、フォーカスグループインタビューの工数が40%削減され、マーケティングリサーチの観点でもこれまで以上に効果的な製品開発 / マーケティングに繋げられるインサイトも得ているとのことです。
(某リテール企業様におけるリサーチ工数比較)
しかし、世の中に出回っているコミュニティマーケティングに関する言説は、基本的にはマーケティングのなかでも「
そこで本記事では、どのようにコミュニティがユーザーインサイト取得に価値貢献するのか?について解説します。
ユーザーリサーチには、定量調査と定性調査があります。例えば「満足度は100点満点で何点ですか?」というのが定量調査で、「満足しなかった点を具体的に文章で教えて下さい」というのが定性調査です。
デジタル化が進み、定量データについては膨大に、かつ細かいセグメンテーションも含め簡単に取得できるようになってきています。
それらのデータを利活用するためにも定性情報の重要度が相対的に高まっていますが、多くの企業においてその取得はアナログで行われていたり、ユーザー体験が良くなく、質の高い情報を効率的に取得することが難しい状況です。
例えばお客様からコールセンターに連絡したり、店舗スタッフに直接言ったり、「感想カード」に回答したり...
また、座談会やデプスインタビュー、フォーカスグループ、顧客訪問などの「直接の接点」を持つことには、下記のような課題があります。
①コストと時間がかかる
上述のリテール企業のケースでは、グループインタビュー1回あたり46.5時間も要しています。その内訳を見ても、20時間ほどは事務的な作業等、非生産的な業務が占めています。
コスト面でも、社員/お客様の移動費、謝礼、休日出勤費用(インタビューは週末が多い)、音声文字起こし代...等、蓄積すると意外と大きいものです。
②対象が限定的
対面インタビューを行っているある企業様は、こうおっしゃっていました。
“うちの商材は気温とか気候によって使われ方が異なるから、北海道から沖縄までいろんな地域の生活者の声を集めたいんです。でも、対面インタビューだとどうしても一都三県の方になってしまいがちで。あと、専業主婦の方とかがどうしても多くなるんですよね...”
対面でのコミュニケーションを前提とすると、おのずと対象が絞られてしまったり、偏ってしまい、それによりリサーチの価値を低減してしまう恐れもあります。
③継続性がない
その場限りで対話が終わるため、継続的に追加質問をしたり、発信してくれたコンテンツの活用等ができない場合が多くなります。
ユーザー座談会でAさんから質の良い製品フィードバックを受領しました。
1週間後の開発会議で議論します。するとそこで、「XXを解決するとYYがZZになってしまうけど、それはお客さんは良いのかな?」という意見が出ました。
こうなると本当はAさんにダイレクトに質問したいですよね。
しかし、インタビューを再度行うことは大変だし、電話一本かけるのも申請がいるし、そもそも許諾取ってないし...こうしている間に、時間が過ぎてしまいます。
また、例えばデプスインタビューでBさんから、製品の使い方について工夫した面白い写真を見せてもらいました。
本当は、そのコンテンツ自体を自社の資産としてマーケティングコンテンツとして活用したり、他のお客様にも教えてあげたいですよね。オフライン接点だとこれらのハードルは非常に高くなってしまいます。
コミュニティを使うと、従来のオフラインを起点とした定性調査と比べて、下記のような価値が実現できます。
①スピード
オフラインでの実施の場合と比べたとき、総工数は大幅に削減可能で、上述のリテール企業様のように~40%の削減を実現しているケースもあります。
他方で、リードタイムの側面でも大きな違いがあります。
例えばオフラインで実施する際には、企画立案→稟議→ユーザー募集要件決定→募集→対象者選定→日程調整→実施→結果報告と至るまでに、平均で1~2ヶ月程度を所要します。
しかしオンラインコミュニティの場合には、常に場が用意されておりお客様との事前のコミュニケーションが不要であるため、立案から結果報告まで1~2週間での実現が可能となります。これにより、高速でPDCAを回すことが可能となり、短い期間で結果が求められる調査も可能となります。 (例: 1週間後に出すweb広告のA/Bテストなど)
②継続性 / 双方向性
これまでのインタビュー等の形式では、そのタイミングで”切り取られた”コミュニケーションしかできませんが、オンラインコミュニティは継続的な接点として機能します。ユーザーからのフィードバックを社内会議に持ち込んだときに出た追加質問は、その場でユーザーに聞くことが可能です。
継続性があるからこそ、毎回毎回の立案→稟議→募集...といったプロセスを経る必要もありませんし、ユーザーさんも思いついたタイミングで声を提供いただくことができます。
また、グループインタビューは声の大きい人に引っ張られたり、場の空気に左右されることがよくありますよね。オンラインの場であれば、そのような心配はなく、ユーザー間のやりとりをモニタリングできる、双方向性のよいところは残しつつ運用が可能です。
③発展性
コミュニティにお客様の声が蓄積したり、ユーザー発信コンテンツが蓄積すると、コミュニティの「場としての資産価値」が高まります。
これにより、例えば店舗のポップアップにユーザーが投稿した写真を活用したり、あるいはコミュニティの一部をメディア化し、web検索経由での未顧客流入を見込むことも可能です。
単発のリサーチ施策ではなく、マーケティング活動の基盤となる場作りが可能となるのです。
以上、なぜコミュニティがユーザーインサイト獲得に効くのか、について従来の手法の課題とインサイト取得にコミュニティを活用する3つの価値の解説でした。
そもそもコミュニティマーケティングってなに?という方は、是非以下の記事もご覧ください。