海外企業ユーザーコミュニティ事例第10弾!
今回はアメリカのエンジニアから生まれた完全食である「ソイレント」を紹介させていただきます。
ソイレントはアメリカのエンジニアが生み出した「完全食」で生きるのに必要なすべての栄養素を理想的に摂取し、時間的にも金銭的にも節約ができると話題になってます。
2017年5月には55億2400万円の資金調達行い、現在は販路拡大の為、アメリカではAmazon・セブンイレブン・ウォルマートと連携することが決まっています。
※日本ではソイレントは未発売
ソイレントは主に以下3つのユーザーコミュニティを運用しています。
ソイレント公式ユーザーコミュニティは、創業後1ヶ月から開設され現在は9万3000人の登録ユーザーがいます。
そこでは、様々なカテゴリーで議論する場が設けられており、累計13万3000件の投稿が寄せられてます。
[カテゴリー(一部抜粋)]
フィードバック
ソイレントチームへの質問やアイデア募集
体験
ソイレントまたはDIYを使用して経験を共有する場
DIY
ソイレントの研究、使用、製造に固有のコンテンツの共有
メディア
メディアに取り上げられたソイレントに関する議論の場
認知
集中力、睡眠、記憶力、向知性薬などの物質の記憶などの認知効果についての議論
生物学
生物学、健康と栄養の背後にある科学とメカニズムに関連するあらゆるものの議論
メタ
コミュニティを一緒に改善するためのアイデアを言い合う場
また、ソイレントレシピを閲覧・投稿できることに特化した「
ここではベーシックな味のソイレントから、ボディビル向けレシピ、低価格、味重視などの目的別に特化して改良されたものまで、ユーザーが独自で考えたレシピを共有することができます。
栄養成分表も閲覧することができ、必要な材料をAmazonで一括購入できるようになっているため、興味のあるレシピを試しやすいという特徴があります。
それによって、レシピにはレビューが集まりやすく、ユーザーコミュニティによってアイディアが磨かれることで、より良いレシピが生まれやすいのです。
これは、元々ソイレント愛好者であったNick Pouldenがソイレント社に企画を提案し、正式にソイレントからパートナーとして認められたプロジェクトとして動いているユーザーコミュニティになります。
3つ目は、創業当初から情報発信 / ユーザーとのコミュニケーションツールとして使っている
手軽にコミュニティが作成できるのと、コミュニティの管理をユーザーが行うことができるため、ソイレントは一番初めにRedditを活用し、ユーザーコミュティを運営していました。
フォロワーは約3万4900人で現在も活発です。
ソイレントは上記のユーザーコミュニティを軸にして、ユーザーの意見を積極的に取り入れ製品改善をし続けるとともに、ユーザー自身の声を用いたマーケティングを実施することで事業拡大をしています。
以前、初めてのソイレントを摂取後に腹痛の症状が出るユーザーが多発し、腹痛まではいかなくても「摂取後はオナラが強烈に臭くなる」というユーザーの声が多くあがっていたのです。
しかし、コミュニティでユーザーと頻繁にコミュニケーションをとっていたため、そういった問題に即座に対処し、ソイレントはプロダクトのアップデートを行うことができました。
*アップデートでグリセミック負荷と食物繊維の量を下げることで、大半のおなら問題は解決したようです。
また、コミュニティ内では既存ユーザーから「数回飲めば腹痛は治る」「慣れるまで少し時間がかかるが、問題はない」などのアドバイスを通じて、新規ユーザーは不安を解消していくことができていました。
創業当初から活用されているredditでは、ユーザーが直接ソイレントに意見する場があるため、ユーザーコミュニティから生まれるアイディアも数多くあります。
そのうちの一つがボトルデザインの変更です。
下記のような投稿が増え、ソイレントはボトル設計変更を検討し、新しいデザインが生まれました。
@soylent
私に送られてきたほぼすべてのボトルが曲がったり、へこんだりしていました。これは正常ですか?
また、「コーヒーを飲んだ後のようにシャッキリと活動をスタートできる」と話題の「Coffiest」もユーザーコミュニティのから生まれたプロダクトです。
ユーザーがコミュニティ内でココアパウダーやコーヒー抽出液などをオリジナルのソイレントに加えるレシピを公開し、注目を浴びたことから、カフェインとココアパウダーを加えた新製品「Coffiest」が生まれました。
「ユーザーコミュニティで注目を集めたレシピは、既にユーザー間で議論が活発に行われ、ブラッシュアップされているため、ソイレントのターゲットニーズの核心を突くアイデアである可能性が高い」考えることができます。
さらに、「ユーザーの意見や要望、提案を積極的に受け入れることで、ユーザーはソイレントに対して愛着が生まれ、より一層コミュニティ活発化に貢献する」可能性もあります。
実際に、アイディアや提案に対して、ソイレント側から反応があったユーザーは、その後のコミュニティ内における発言頻度も多く、コミュニティの活性化に貢献しております。
SNSの疑問にコミュニティが答える
ソイレントはレシピを公開しておりアレンジしやすいことから、SNSでも様々な提案、要望を受けることが多いです。
そのような場合は、公式アカウント(@Soylent)が独自でアレンジしたレシピを共有し合うユーザーコミュニティ「Complete Foods 」(以前はDIY Soylent) への参加を促しており、そこでユーザーと効率的にコミュニケーションを取ってます。
ユーザー自身の発信のもととなるユーザーコミュニティ
ソイレントを独自でアレンジし、レシピをコミュニティ内で共有しているユーザーは自身のブログやHP、SNSなどを通じてコミュニティ内のレシピを紹介したり(時にネタにしたり)しています。
結果として、「コミュニティの拡大や新規顧客に対するマーケティングにも繋がります。」
創業当時から創業者のRhinehartは「How I Stopped Eating Food」という記事ををブログに投稿し、ソイレントを作るための材料や調理方法を細かく書いて投稿していました。
それが優れたアイデアだと感じた数多くの読者が独自のレシピを開発し、Reddit上で「カルシウムやマグネシウム粉末はどれくらいが適量か」といったコメント応酬が始まったのです。
そこでの盛り上がりから、創業者Rhinehartはヒントを得て創業しました。
今でも創業期からのマインドは変わらず、レシピを全て公開することで多くのコミュニケーションが生まれ、ユーザーコミュニティの活性化に繋がっています。
創業期からコミュニティとして活用しているredditでは、ソイレントの創業者やチームメンバーの投稿数が多く、頻繁にAMA(Ask Me Anything)を実施していました。
これによって、多くのユーザーの疑問を解消すると同時にソイレントも事業成長のヒントを得ていたのです。
つまり、「コミュニティの拡大が結果的に良質なアイディアや議論を生み出し、ソイレントの成長を加速化させることができている」ということです。
こんにちは!SoylentのCEO兼共同創業者のロブです。
ここ数時間はここにいますので、何でも聞いてください!
追記:もう行かなければいけませんが、皆さんたくさんの質問をありがとうございました!
素晴らしいコミュニティメンバーになってくれてありがとう!!
・ユーザーコミュニティの発展が、結果的に良質なアイデアや議論を生み出す
・ユーザーコミュニティ内で注目を集めたアイデアは、顧客インサイトの発見につながり、今後の事業戦略に活かすことができる
・ユーザーコミュニティを利用し、ユーザーの声をマーケティングに反映させている
長文お読みいただきありがとうございました!!
▼海外コミュニティ事例集一覧
【資料ダウンロード】オンライン顧客接点 うちもやらなきゃ!を考えた担当者がまず読む本
オンライン顧客接点についてさらに詳しく知りたい方には、こちらの資料がおすすめです!本資料を読むと下記のようなことがわかります。
・なぜいまオンライン顧客接点が重要なのか
・どのようにオンライン顧客接点を実現するのか
・With コロナ時代におけるオンライン顧客接点への移行事例
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、早急な見直しが必要とされる顧客接点。オンライン顧客接点がなぜ今重要なのか、そして企業はどうすべきなのか、について豊富な事例をもとに解説いたします。